保養とは心身機能の回復,増進をはかり、また、疾病予防のために日常生活環境から離れた場所に転地滞在し、そこで運動、栄養、休養の健康づくり三要素を実践することと考えます。それに適した場所が健康保養地であり、生活習慣の調整の場でもあります。
2 転地の効果
日常生活環境と極めて異なった環境の刺激、例えば気候要素や温泉水などの刺激を五感の感覚器で受容すると、それに対応して主として神経系と内分泌系の活動が活発となり、しかも互いに協調して適応が成り立っていきます。その結果としてより健康な生活を営むことができるようになります。しかし「転地」の効果も約一か月の滞在で当初に比べて少なくなってきます。この馴れの現象により漫然と続けるのではなく3〜4週間を限度として区切り、1か月以上の間隔をおいて繰り返すのが効果的といえます。活動が最も盛んになるのは4〜5日から7日間といわれています。
3 健康保養地の生物気象学的要因
(1)日照と光線の状態
(2)温度
(3)湿度と降水量
(4)大気の化学的状態(イオン、オゾン、CO2、O2、大気の微量元素含有量など)
(5)海抜高度
(6)地理、心理学的状態(地形,森林繁茂など)
以上6種の指標が四季を通じて測定されることが望まれます。
健康保養地として望ましい条件は、大気がアレルゲンや塵埃などで汚染されていないこと、太陽光線が十分得られること、比較的湿度が高い大気状態であっても乾燥作用が十分あること、温度と湿度の関係ができるだけ一定であること、蒸し暑さがないことなどです。
4 滞在中のプログラム
プログラムの構成要素としては、自然を活用したもの、屋内で行うもの、栄養、運動、休養の健康づくりのそれぞれの要素に重点を置いたもの、文化、教養を深めることにより自己実現を図るものなど多様なものがあります。
健康保養プログラムの特徴は、医学的、科学的な根拠に基き作成され、利用者の年齢や健康状態といった特性が考慮されることにより、安全かつ効果的に提供されることです。
5 国の施策
厚生省では昭和63年度から国民の健康づくり対策として、一連の具体策の検討が展開され、平成9年度には国を挙げて、より一層積極的に健康休暇の普及と健康保養地の整備をすすめることになりました。
特に、既存の保養地や保養施設の有効な活用という観点から、望ましい健康保養地の在り方や望ましい過ごし方を国民に対して提示する必要から、検討会が設置され平成9年2月に健康保養地検討会報告書としてまとめられました。
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